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清水博
専門は、生命科学/場の哲学。「場の公理」から導かれる「二重生命」の考え方により、生命と地球の在り方を問いなおす。
『生命を捉えなおす』(中公新書)、『生命知としての場の論理』(中公新書)、『競争から共創へ』(岩波書店・共著)、
『場の思想』(東大出版会)など著書多数。1985年、毎日出版文化賞受賞。2001年、中山賞大賞受賞。


地球共同体の科学に向けて

深刻な生存の危機が地球を広く覆っている。私たちは「このままでは明日はない」と思いながら、巨大化した利益社会の運動の中に余儀なく身をおいて生きている。しかし、「生きていく」ことは難しく、社会的に弱い立場にある高齢者や若者などが追い詰められ、毎年3万人以上の自殺者が出ている。それでは、どうすれば「生きていく」道は見つかるのか。科学は「生きている」ことを解明してきたが、どうすれば「生きていく」ことができるかを教えてはくれない。これは心の問題が主体的問題であるのに、科学が客観性を重んじて、主体(見る者)と客体(見られる対象)を切り離してしまうために、「生きていく」者の苦難を知る方法がないからである。科学がこの主客切断の壁を越えるために参考になるのが、古典天文学が天動説から地動説へと大きく転回して、他の惑星と共に地球自身が存在している宇宙空間という「共存在の場」を発見し、惑星と地球自身の運動を知る方法を切り開いたことである。同様に、自己が他者と共に生きている「共存在の場」を発見して、その場における自己と他者との「運動」(=「生きていく」というドラマ)を明らかにする科学的転回を考える意義は大きい。その「共存在の場」とは何か、そして「運動」の法則(=場の公理)とは何かを紹介し、未来に向かって、私たちはどのように「生きていく」べきかについて語りたい。
田坂広志
2008年、The World Economic Forum(世界経済フォーラム・ダボス会議主催)の“The Global Agenda Council”のメンバーに選ばれる。『生命論パラダイムの時代』、『複雑系の知』、『ガイアの思想』、『こころの生態系』、『目に見えない資本主義』を始め、50冊以上の著書を上梓している。


これから、人類社会は、どこに向かうのか? 「宗教」と「科学」は、どこに向かうのか? そのことを考えるとき、「弁証法」という歴史哲学が、一つの深い示唆を与えてくれる。弁証法の法則に「事物の螺旋的発展の法則」がある。この法則によれば、歴史は「螺旋階段」を登るように発展する。すなわち、螺旋階段は、上に登るに従って元の位置に戻ってくる。しかし、そのとき必ず、一段高い位置に登っている。同様に、歴史の発展においても、「古く懐かしいもの」が復活してくる。ただし必ず、「新たな価値」を伴って復活してくる。それゆえ、この法則に基づけば、これから世界において、古く永い歴史を持つ「宗教」が、その影響力を増し、復活してくる。では、そのとき付け加わる「新たな価値」とは、何か。そのことを考えるとき、弁証法のもう一つの法則が、意味深い示唆を与えてくれる。「対立物の相互浸透の法則」である。これは、対立し、競い合っているもの同士は、互いに浸透し、融合していくという法則。この法則に基づけば、これまで、対立するものと思われてきた「宗教」と「科学」は、これから、融合していく。そして、そのことが、「宗教」が獲得する「新たな価値」に他ならない。そうであるならば、宗教と科学の間に「対話」(dialogue)が生まれるとは、実は、「対話」と語源を同じくする「弁証法」(dialectic)が起こることを意味している。
竹村真一
デジタル地球儀「触れる地球」「100万人のキャンドルナイト」等、地球時代の人間学を考究しつつ、ITを活用した独自な地球環境問題への取組みを進める。『地球の目線』(PHP新書)、『環東京湾構想』(共著・朝日新聞出版)など著書多数。ラジオ『GLOBALSENSOR』放送中(J-WAVE,偶数月の最終日曜25時〜)。

竹村真一プロジェクトサイト: http://www.elp.or.jp/


20世紀、人類は宇宙の彼方へとまなざしを拡張することで、この地球が宇宙のなかで極めて「有難い」星であること、水が流れ、花が咲くこの星のありふれた日常が、宇宙的にみていかに「破格」なものであるかということに気づきました。
同時に人類はミクロの世界にそのまなざしを向けることで、自らの小さな細胞のなかに膨大な「地球の記憶」を内包していること、私たち自身が多様な生命の共生ネットワークに支えられた一つの生態系(エコシステム)に他ならないことを理解しはじめています。
 人類は科学技術という「窓」を通じて、この世界と自分自身へのリスペクトを高める新たな視野を獲得しました。またコンピューターやロボットという自己の「鏡」をつくったことで、それらをはるかに凌駕する柔軟な脳やからだを持つ人間や生命の価値が再発見されつつあります。
しかし、インターネットなどの人工情報系が「グローバルブレイン」とも呼ぶべきコレクティブな知的生態系へと進化するには、おそらく私たち一人ひとりの内的進化――個々の身体と脳が歴史的・宇宙的な知のネットワーク結節として、さらに成熟してゆくことが不可欠でしょう。 “地球大の脳”が形成されはじめる時、地球生命系の情報進化史における新たな次元――「遺伝子」「脳神経系」そして人類の「言語文化」につづく新たな情報系の層(レイヤー)が創出され、地球と人類は新たな共進化の段階を迎えるはずです。
その段階において、チベット仏教が培ってきた人間の意識と宇宙への洞察は、新たな価値の文脈で再発見され、未来の惑星的文明へのリソースとして活かされていくのではないでしょうか?
星野克美
専攻は、文明哲学、未来文明論、地球環境文明論、文化記号論、認知科学記号論(Semiotic Marketingの世界的パイオニア)。『地球環境文明論』、『社会変動の理論と計測』、『消費人類学』、『流行予知科学』、‘Semiotic Marketing and Product Conceptualization’など著書多数。


「地球の未来のために、どうするか?」

近代文明の発展過程で、人口増加、資源消費増加、経済成長、温室効果ガス増加が世界に拡大し、資源・大気・生態系・生物など地球惑星の自然・生命の構造は、人為の作用によって、元に戻すことができない「非可逆的」な危機的事態に陥っています。そのため文明の「破局」(catastrophe)が予見され、これを回避するためには、地球自然と人類・文明との共生可能な「自然中心主義」に根ざす「自然同一化・統合化・抱握化」の精神・認識・科学、「自然主権・自然契約」の法制、資源消費・生産・人口の水準を引下げる「縮小経済・定常経済」から成る「超文明」(Trans-Civilization)を構築することが不可欠です。(星野克美:『地球環境文明論』、未来科学文化研究所出版・ダイヤモンド社販売)

 地球・人類・文明の危機を超克するためには、[人類・文明・地球自然]の調和的な均衡をめざす対話と協調によって「超文明」の構築に取り組むことが必要です。それが「地球の未来」を拓く途ではないでしょうか。(当日、会場で「文明破局・文明救済モデル」を手品形式でご説明しますので「A4サイズ・紙1枚」をご持参下さい)
尾中謙文
認知科学の知見にもとづいた多面型映像プレゼンテーションシステムの開発、日本初の政党マニュフェスト企画制作、世界初の政党ブロードバンド放送の成功など、常に時代を先取りするビジョンを持ち、国内外の政府機関、大手企業、政党などの戦略立案を多数手がける。


「地球の未来への対話」にむけて

私たちは苦しみの無い、幸せな人生を望んでいる。
なのに、私たちの心に目を向けてみると、次々に悩みや苦しみが生まれてくるのは何故なのだろうか。
日本では、年間3万人を超える数の人が苦しみを乗り越えられられず自殺していく。その数は12年もの間減ることがない。
心の科学である仏教が生まれて2500年も経つというのに「心とは何か」について、私たちはあまりにも無知である。
では科学は、人間に何をもたらしたのだろうか。文明が高度に進化し、生活の利便性を追求した結果、多忙な人々は、携帯電話やコンピューターなしでは、生活を送ることができなくなってしまった。
忙しさからは心の安定やゆとりなど生まれない。
このままでは、やがて人間などいなくても、科学は自ら勝手に理想の未来を設定して、このまま進化し続けるのではないかという気さえしてくる。
科学に振り回されて経済が破たんし、地球環境が悪化し、核ミサイルが世界中で生産し続けられる現実にその兆しはすでに見えているのではないか。
これまでTVの向こうに見えていた、どこか遠くの世界で起きている現実が、もはや他人ごとではすまなくなる日が、すぐそこまで来ていることを感じる。
たしかに、量子力学や生命科学が進化したお陰で、物質と生命のことは昔よりよく分かるようになった。
そして生物学が、知識を増やすことで、生物が心を持っているかどうかよりも、生きているかどうかだけを知るために進化していく危険性をはらむこともわかってきた。
宇宙開発によって、惑星や地球の成分や、
宇宙の広さや成り立ちについての知識や情報は増えた。
しかし、人間は知識が増えるだけで、はたして幸せになれるのだろうか。
幸せな人生とは何なのだろうか。
複雑系といわれる現代社会において、貧困や暴力や様々な物理的・精神的な苦しみは物質や経済や科学だけでは解決できないし、仏教だけでも解決できない。
心の内側と外側の両方から解決する方法を考え、それぞれの専門分野から知識や智慧を統合することで、乗り越えるための気づきや智慧が生まれるのではないだろうか。
仏教と科学が共鳴することで生きた智慧が得られ、未来への方向性がつかめる。そして心が安定してくる。
自分が積極的に生きていくための問題と向き合い、多くの人と対話することで、活かされるための変化が起きる。
自分の生きる力と活かされる力は、周囲に変化を与える。
点が線に、線が波になり、やがて地球に良い変化を与える。
幸せは自分だけでなく、周囲を幸せにしてこそ得られる。
私は、対話を通じ、心の方向と安定をつかむ連鎖によって、幸せを呼ぶ、明るい未来が来ることを確信している。